降水量・気象状況の検討

利用資料:気象庁の観測資料,AMeDAS観測所観測値

 当日地上観測データからはそれほど強い豪雨は確認できない.現地は山岳部であり,観測所密度もけして十分ではないが,周辺の山間部の観測所含めてみても,おおむね総降水量20mm前後である.降水継続時間は短く,おおむね1〜2時間以内のイベントである.報道ではレーダーアメダス解析降水量を伝えていたところがあったが,やはり20mm程度であったという.もちろん,より狭い範囲でより強い豪雨が発生していた可能性は否定できない.
 なお,谷川岳周辺では,8月に入ってからほぼ毎日降水が記録されている.これらはすべて正午頃〜夕方にかけての時間帯に,1〜2時間中に集中して記録されており,6日と同様な短時間に発生した雷雨的なものと思われる.いずれも量的には大きなものではないが,連日比較的強い雨が続いていた状況下であったことはやや関心が持たれる.その頻度について検証してみたい(予定).
 レーダーについては,建設省レーダー雨量計の10kmメッシュのものしか入手できなかったが,これによると事故現場上流付近では,6日1300〜1310頃と1420〜1450頃に降水があったことが確認できる.降水量は前者で1mm,後者で2mm程度にしかならない.ただし,5kmメッシュのデータを見ればもう少し多くなっているはずである.
 衛星画像を見ると,当日は本州以西で全国的に正午以降に積乱雲と思われる輝度の高い雲が各地に発生しているのが見て取れる.もっとも,その継続時間はせいぜい数時間であり,この前後の他の日に比べて格別継続時間,雲の規模(大きさ)が大きかったというわけではない.


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東北大学大学院工学研究科災害制御研究センター 講師  牛山 素行
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