2001年9月5〜6日 高知県西南豪雨災害 研究関係情報
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2001/9/7の積算降水量分布
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災害概要
9月5日〜6日にかけて,活発化した秋雨前線の活動により,高知県西南部の土佐清水市,大月町付近のごく狭い範囲内に集中的な豪雨が発生した.AMeDAS観測所の最大値は,宿毛で5〜6日の2日間に254mm,最大1時間降水量71mmとなっているが,高知県の観測によると,土佐清水市下加江で最大24時間降水量605mm,大月町で最大1時間降水量110mmを記録したという.高知県中部,西部においては,日降水量に関しては,高知629mm(1998年9月24日),東津野597mm(1963年8月9日,東津野村),三原550mm(三原村1965年9月9日)などの記録があり,1時間降水量の記録としては,須崎126mm(1998年9月24日),土佐清水150mm(1944年10月17日)などがあり,日降水量,短時間降水量いずれの点で見ても,今回の事例は過去100年中にこの地域で何回か発生した豪雨の一つと言える.
被害概要
この豪雨により,人的被害は生じなかったが,土佐清水市,大月町を中心とする高知県内で住家の全半壊・一部破損18棟,床上浸水544棟,床下浸水576棟を記録した(高知県消防防災課9月8日付け資料による).大月町では同276棟,268棟となっており,1世帯1棟と仮定すると,全町2823世帯(1995年国勢調査)の19%が浸水による被害を受けたことになる.土佐清水市の宗呂川上流域などでは土石流の発生など,土砂災害も見られたが,多量の出水による河道侵食や浸水による被害も目立った.浸水被害の集中した大月町周防形地区では,地表から2mほどの位置に流下痕が見られ,集落内のほとんどの家屋が床上浸水した.同地区は海に面した,平地の幅わずか100m程度の谷出口状の地形となっており,ここに約12km2ほどの扇形の流域から雨水が集中したものと思われる.海に面した谷地形に豪雨が集中したという意味では,1982年長崎豪雨と通ずる特徴を持った事例ともいえる.
現地調査写真 (2001/10/08)
宿毛市小筑紫福良地区
大月町周防形地区
土佐清水市貝ノ川地区
土佐清水市下川口地区
土佐清水市宗呂下・宗呂上地区
土佐清水市長瀬・坂井地区
関連リンク
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静岡大学防災総合センター 教授 牛山 素行
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