降水量の概要


降水量分布

 韓国気象庁より入手した,韓国内76ヶ所の降水量データを用いて,8月30日〜9月1日の3日間の積算降水量分布図を作成すると,図 3のようになる.最多雨量を記録したのは,北東部の江原道江陵(Kangnung)で,898mmに達している.そのほとんどは8月31日に記録され,同日の日降水量は870mmとなっている.江陵近傍の大関嶺(Taegwallyong)でも3日間で760mmが記録されていることから,観測上のエラーなどではなく,実際にこの程度の豪雨が発生したものと思われる.800mm前後の豪雨が記録されたのは江陵付近のみであるが,他に,南部の小白山脈付近の山間部を中心に,陜川(Hapchon)で304mmなど,300mm前後の豪雨が記録されている.最大1時間降水量は,江陵(Kangnung)で98.0mm,南部海岸の台風上陸点付近の高興(Kohung)で81.0mm,大関嶺(Taegwallyong)で60.5mmなどとなっており,1時間降水量についてはそれほど極端に大きな記録が生じたわけではなさそうである.


2002/08/30〜09/01の降水量分布
降水量平年値

   主な被害を生じた江原道,慶尚北道は,平野部の年降水量平年値が1200mm前後,暖候期降水量(4月-10月)も1000mm前後と比較的少雨地域である.KangnungとChupungnyoungの月降水量平年値を右図に示す.年降水量はKangnung1376mm,Chupungnyoungが1149mm,暖候期降水量はそれぞれ1069mm,953mmである.これらは,日本で見ると,東北地方の太平洋側などと同程度であり,少雨地域において,大きな豪雨記録が生じたものと考えてよい.


月降水量平年値(1961-1990)
最近の降水量

 2002年7月から9月上旬までの,Kangnung(上)とChupungnyoung(下)の日降水量と,半減期2日の実効雨量(API2D,Antecedented Precipitation Index)を示す.なお,実効雨量は,時間の離れた降水量ほど逓減させて計算している積算降水量と考えてよい.本年は,7月上旬と8月上旬〜中旬にまとまった降水があった.特に8月の降水は1週間程度続いており,韓国南部を中心に被害をもたらしたとのことである.今回の台風0215号は,この時被害を受けた復旧が十分進んでいない地域でも被害が生じたとのことである.ただし,この降雨後の2週間ほどは,まとまった降雨は記録されていない.すなわち,先行降雨が多い状況であったとは思えない.



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