2004年4月宮城県村田町地すべり
東北大学災害制御研究センター
講師 牛山 素行
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災害概要
2004年4月26日,宮城県村田町菅生・平(ひら)地区で,住民から「山に亀裂が入っている」との通報が町に対してあり,町で確認したところ,幅20cmほどの亀裂が複数確認されたため,27日に同地区の9世帯29人に対して避難指示が行われた.その後も,1時間6〜10mm程度の変動が確認されており,29日現在,菅生地区公民館に13人をはじめとして,住民の避難が続いている.(以上の情報は4月27〜29日付の河北日報を要約)
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国土地理院1:25000地形図に加筆.赤丸は筆者が確認した亀裂や滑落崖(GPSによるため林内などでは不正確.また必ずしも今回発生したものとは限らない).
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上図内の青線付近の簡易縦断面図
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現地調査
- 現地位置概略図(Mapion)
- 2004/4/29の現地調査写真
- 地形・地質概要
現場は,村田町と仙台市の境界付近の山間部にあり,県道仙台村田線を中心とした谷状の地形となっている.1:200000地質図「仙台」(地質調査所,1987)によると,付近は新第三紀中心世前期〜後期の「輝石安山岩溶岩,かんらん石玄武岩溶岩及び火砕岩」からなる高舘層の一部とされている.同図には,平集落の西側に,北東〜南西方向に断層が示されており,地形図からも読み取れる急傾斜付近が断層に当たるものと思われる.
防災科学技術研究所の地すべり地形データベースによれば,平集落付近には複数の地すべり地形が示されている.今回活動し始めた土塊も,同図で斜面移動体とされているものの一部のようである.前述の断層に沿って,これらの地すべり地形が点在しているように思われる.
河北新報によれば,現場付近では,1986年8月に地すべりによって1戸が全壊し,3名が死亡する災害が発生しているとのことである.
- 対応状況
4月27日から,現地付近の9世帯に避難指示がなされている.これらの世帯を含む一帯が,県道部分を除いて立ち入り禁止となっている.29日の時点では,伸縮計を10本以上新たに設置する作業が行われていた.この伸縮計は,県道付近に置いた機器でデータを記録することができるようになっている模様であり,ここに回転灯とサイレンが置かれている.電話回線を通じて,遠隔地にも情報を送る機能もあるようだが,29日午前の時点では具体的な送信先は決められていないようであった(現地での設置業者からの聞き取り).
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静岡大学防災総合センター 教授 牛山 素行
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