disaster-i.net-
作者紹介-
災害研究-
イベント等-
災害研究-
災害事例の調査・研究情報-
2009年8月台風9号豪雨災害
2009年8月台風9号(台風0909号)豪雨災害 研究関係情報
静岡大学防災総合センター 教授 牛山 素行
2009/08/10作成開始
- 本ページの記述は,すべてページ作成時の速報的なものであり,完全なものではありません.本web中の記述は,基本的にページ作成時までの情報を元に作成しており,その後の更新はしていません.
- 現地調査の様子など最新の活動状況は,ブログにも掲載しております.また,メールマガジンにご登録いただくと,更新状況をメールでお知らせいたします.
刊行物
災害概要
- 2009年8月9日から10日にかけて,兵庫県西部を中心として,台風0909号の北側に発達した停滞前線による豪雨が発生した.この豪雨により,兵庫県佐用町などで死者・行方不明者27名(うち兵庫県23名)などの被害が生じている.兵庫県においては,2004年台風23号以来の人的被害規模の事例となった.
オリジナル資料
特記事項
降水量
- 8/9に,全国のAMeDAS観測所(1979年以降で統計期間20年以上)で,1時間降水量の最大を更新した観測所は1カ所(兵庫県・佐用),24時間降水量は2カ所(佐用,岡山県・今岡),48時間降水量は1カ所(佐用),72時間降水量は1カ所(佐用)となっている.8月10日午前にかけて,四国地方でも前線に伴う豪雨が発生しているが,8月9日深夜までの時点で,記録的な豪雨がもたらされた地域は兵庫県西部の岡山県境付近に限定される.
- 佐用では,9日20時に1時間降水量59.5mmを記録した.佐用の1時間降水量1979年以降最大値が57mmなので,この時点で最大値を更新している.続けて21時には81.5mmを記録し,2時間続けて1時間得降水量最大値が更新された.この2時間の降水量は141mmで,1979年以降最大値101mmを大きく更新した.
- 佐用の24時間降水量は,20時の時点で183.5mmと1979年以降最大値187mmとほぼ同程度となり,21時には265mmと大きく更新している.48時間降水量も21時には更新された(250mm->265mm).24時間降水量と48時間降水量が同値であることからもわかるように,前日8月8日は無降水で1mm以上の雨は8月4日以降降っていなかった.先行降雨はほとんどなかったことになる.
- 佐用では,9日18時の時点で24時間降水量113mmと,この地域としてはまとまった雨がすでに降っていた.その後に記録的な1時間降水量が連続して記録された.長時間の降水量,短時間の降水量ともに激しく,かつ激しい短時間降水量がまとまった長時間降水量の後に記録されるという降雨パターンであり,豪雨災害の発生が極めて強い雨の降り方だったと考えられる.
人的被害
- 8/15までに整理した情報を元に検討すると,今回の災害による死者・行方不明者の原因別内訳は,洪水19名(+3名となる可能性あり),事故型2名,土砂1名などとなっており,洪水そのものによる犠牲者が非常に多い.1980年代以降で見ると,2004年台風23号(洪水による犠牲者32名),昭和57年7月豪雨(長崎豪雨・同約30名)に次いで3番目の規模である.
- 2004年台風23号の洪水による犠牲者は近畿・四国を中心に広域で生じており,ほぼ1自治体内で集中的に発生したケースとしては,長崎豪雨に匹敵する.
- 洪水による犠牲者は,1名を除き全員が,自宅など屋内ではなく,屋外を移動中に遭難している.近年の洪水による犠牲者の多くは屋外を移動中の遭難であり,このこと自体は一般的な傾向と言える.
- 洪水による死者行方不明者19名中,少なくとも11名は避難先への移動中に遭難している.筆者の2004〜2008年の豪雨災害犠牲者262名を対象とした調査によると,何らかの避難行動をとっていたものが25名,うち,避難先への移動中だったものが14名である.すなわち,今回の災害では,最近5年間の「避難先への移動中の遭難者」の総数と同程度の犠牲者を1回の事例で生じてしまったことになる.まだ精査していないが,1回の事例で,このような形態の遭難者が10名以上も生じた事例は,1980年代以降初めてだと思われる.
その他
-
関連リンク
※本災害に関しての網羅的なリンクを作成することを目指しているものではなく,筆者の調査研究上の必要に応じて作成しているものです.「なにそれが欠けているので入れて欲しい」とのご要望をいただいても当方の必要がない限り必ずしもご対応しないこともありますのでご了解下さい.
- 国機関などの災害情報・資料(リンク切れとなる可能性があります)
- 都道府県などの災害情報・資料(リンク切れとなる可能性があります)
- 各種情報
- 当ページはごく普通のホームページですので、特になにか必要がない限り、作成者としてはリンク掲載許可の申請は不要です。
- 本ページ記載の図表は,出典を明記(URLなど)していただければ,印刷物等に引用していただいてかまいません.ただし,速報的なものですので,データには誤りが含まれている可能性があることをご承知ください.
- 本ページで使用しているAMeDASデータの図表は,日本気象協会との協力により当方で整備しているリアルタイム豪雨表示システムによるものです.
静岡大学防災総合センター 教授 牛山 素行
E-mail:->Here