2. 研究手法 目次へ

2.1 電子掲示板について 目次へ

 現在、大手商用ネットで利用できる主な情報サービスとしては以下が挙げられる。

(1)電子掲示板

(2)電子会議室

(3)新聞社等の提供によるニュース

(4)各種データベース

(5)電子メール

 このうち(3)、(4)は情報提供者と、それを参照する利用者とが明確に区別されるが、(1)、(2)については利用者すべてが同時に情報提供者となり得る。(5)は手紙やFAXと同様な特定の利用者間の連絡に用いられるものである。

 電子掲示板と電子会議室は性格がよく似ているが、電子掲示板が特に明確な目的を設けずフリートーク的な場として利用されているのに対し、電子会議室(NIFTY-Serveではフォーラムと呼ばれる)は何らかの特定の話題についての情報交換を行っている。また、電子会議室には運営責任者(NIFTY-ServeではSYSOPと呼ばれる)が存在し、話題の整理、情報の保存などを行っているが、電子掲示板にはそういった者がいないのも相違点である。

2.2 台風情報等の臨時電子掲示板 目次へ

 NIFTY-Serveでは従来から大雪・台風などの災害時に臨時の掲示板を開設している。ニフティ株式会社に照会したところ、掲示板開設の明確な基準は無いものの、ニュース、気象情報を元にして、大都市圏もしくは全国的に重大な影響が予想される場合に、ニフティ株式会社企画部の判断で開設しているとのことである。このような掲示板は、これまでに1992年2月6日〜10日の「大雪情報掲示板」、1993年8月26日〜9月2日の「台風11号情報掲示板」、同年9月2日〜9日の「台風13号情報掲示板」、同年9月9日〜16日の「台風情報掲示板」、1994年9月28日〜10月7日の「台風情報掲示板」の5回の開設がある。なお、93年の3事例は、その都度掲示内容は更新されたものの、閉鎖されることなく開設され続けたものであるため、実質的にはこれまでの開設事例は3回と考えてよい。

2.3 台風9313号電子掲示板 目次へ

 1993年9月2日、台風9313号の接近に伴いNIFTY-Serve上に台風13号電子掲示板が開設された。利用者がNIFTY-Serveにアクセスし、メニューから台風13号電子掲示板を選択すると図1の画面が現れる。ここでメニュー番号3、または4を選択すると図2のようなタイトルリストが現れる。これが各地の利用者から寄せられた発言(情報)である。利用者はこのタイトルリストを見て、興味を覚えた発言を選択する。寄せられている全発言を参照することも可能であるが、膨大な量になることから、取捨選択して参照するのが普通の利用方法である。参照する発言番号を入力すると発言を参照することができる。

 筆者は1993年9月2日から毎日午前9時頃、午後9時頃の2回ずつこの電子掲示板にアクセスし、発言数、参照数の推移を記録した。同掲示板への発言は4日まで続き、前述のように以後9日まで開設されていたが5日以後は新規の発言は登録されなかった。筆者は、5日、6日にもアクセスしたが、参照数等に大きな変化は無かったため、以下の解析では5日9時アクセス時の参照数等のデータを利用した。

2.4 通信・データ処理ソフト等 目次へ

 NIFTY-Serveへのアクセスには、フリーウェアの通信ソフト「WTERM」を利用した。取得したログファイル(発言などを記録したもの)の整理にはフリーウェアのログ整理ソフト「NIFP」を用いた。発言文字数のカウントはテキスト整理ソフトの「JGAWK」を利用し、スクリプトを自作して行った。その他の計算等には表計算ソフト「MS-Excel」を用いた。