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災害研究- 災害事例の調査・研究情報- 2000年9月東海豪雨 研究関連情報
※2000年9月頃作成に資料の資料です.

降水量分布の特徴と既往豪雨記録との比較

2000/9/19加筆

 気象庁AMeDAS観測値を元に,名古屋周辺における9月降水量の平均的な分布(準平年値)と,今回事例(9/11 00:00-9/12 24:00)の降水量分布を作図してみた.平均的には,この付近の9月頃では,三重県南部の太平洋岸が多雨域となっており,鈴鹿山地付近にも多雨域が見られる.

 今回事例でも,三重県南部は多雨域となっており,9月11日の日降水量は,宮川(多気郡宮川村)で505mm,粥見(飯南郡飯南町)で403mmなどとなっている.しかし,これらの記録は,最近20年間の中でそれぞれ3位,1位(ただし既往1位との差は8mm)であり,極端に大きな値というわけではなく,この付近の豪雨は20年間でも数回程度発生しうるものと言える.

 今回の大きな特徴は,三重県南部と共に多雨域が,愛知県西部に出現したことであり,この多雨域が,名古屋市内を中心とした出水につながった.

 今回の多雨域は,岐阜・長野・愛知・静岡の県境付近の山間部にも出現している.地上観測所の最多降水量は,建設省槍ケ入観測所(岐阜県上矢作町)で,9/12の日降水量が317mm,9/11-12の2日間の降水量が595mmである.この記録は,周辺のAMeDAS観測所の最近20年間の記録はおおむね上回っている.ただし,降水量準平年値で見るように,この付近は名古屋市内に比べればもともと降水量の多い地域であり,過去100年間の記録を見ると,この周辺では日降水量300mm以上の事例は少なからず確認できる.今回の記録は大きな記録ではあるが,この地域において過去100年で最大規模のものであるかどうかは疑問である.この点については,今後検討する.

2000/09/11-12 48時間降水量
9月降水量準平年値(1979-1990の平均)

静岡大学防災総合センター 教授  牛山 素行
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