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2007年9月秋雨前線豪雨災害
2007年9月秋雨前線豪雨災害に関するメモ
静岡大学防災総合センター 教授 牛山 素行
2007/09/18作成開始.9/19,21,22,24,10/1加筆.
概要
- 2007年9月17日から18日にかけて,秋雨前線の活動により,秋田県,岩手県などの北東北を中心に豪雨が発生した.
- この豪雨により,全国で死者・行方不明者4名,住家一部破損4棟,床上浸水535棟,床下浸水956棟などの災害(GLIDEなし)が発生した(9/19消防庁第3報).
オリジナル資料・特記事項
降水量
- 降水量極値更新観測所(2007/09/18)(速報版) [9/21公開中止]
かなり間違いが確認されたので公開中止とします
- 2007/9/17~18に降水量最大値を更新したAMeDAS観測所(再集計版)
- 2007年9月17日~18日の降水量分布(速報図)
全国24時間降水量分布図,最大値更新観測所分布
- 最大値更新観測所分布図に見るように,秋田県・岩手県境付近を中心に豪雨が発生した.
- AMeDAS観測所(統計期間20年以上)の更新観測所数については,24時間降水量の最大値更新観測所が21箇所,48時間降水量が同23箇所,72時間降水量が同17箇所となった.いずれも,秋田県,岩手県内の観測所であった.
- ただし,1時間降水量,2時間降水量を更新した観測所は1箇所もない.長時間の降水量が多かったことが特徴と言える.
- 各地点とも24時間降水量,48時間降水量,72時間降水量に大きな違いが無く,概ね1日程度の間の降水イベントであったと見なせる.
- 1978年以前の記録との比較は,概略調査のみだが,以下の通り.
- 秋田県北部の阿仁川流域付近については,今回の事例より明らかに大きな記録はいまのところ見いだせていない.
- 岩手県内陸部付近については,今回24時間降水量を更新した観測所のなかで,例えば沢内(今回261mm)では,1943年8月に日降水量266mm,紫波(同221mm)では1938年8月に同222mm,区界(同147mm)では1944年3月に250mmなどの記録がある(いずれも,全く同一地点ではないが,数km以内の地点).
- 盛岡では,今回24時間降水量199mm,72時間206mmでいずれも1979年以降最大であるが,1938年8月15日に日降水量199.8mm,8月14日から15日の2日降水量215.1mmという記録がある.
- 岩手県内陸部付近の地点毎の記録で見ると,24時間降水量については,過去約100年間で最大規模の事例の一つであるとは言えそうだが,この地域で過去に全く経験もしていないような記録であったとまでは言えそうにない.
- 今回は比較的広範囲で豪雨が発生しており,流域平均雨量などで見ると大きな値が出るかも知れないが,これについては未検討.検討する予定も今のところありません.
人的被害
- 9月19日消防庁第3報の時点では,死者・行方不明者は岩手県で2名,秋田県で2名の合計4名.近年の豪雨災害と比較して大きくない.
- 原因別では,洪水:2名,事故型1名,詳細不明1名.洪水2名は,車及びバイク運転中に流されたもの.
- 分類法などについては,筆者の豪雨災害時の人的被害に関する研究を参照のこと.
その他の被害
- 9月18日消防庁第2報時点の,全国の家屋の全半壊・浸水家屋数は,毎年何回も発生する程度の規模の被害である.
- 9月19日消防庁第3報時点の,府県別の家屋の全半壊・浸水家屋数は,ほとんどの年に,複数回発生する規模の被害である.
- 消防庁第3報による秋田県での住家全半壊0,床上浸水450棟,床下浸水621棟は,気象庁による1971年以降の記録で見ると,1975年8月20日の被害(全壊流失12棟,半壊19棟,床上浸水624棟,床下浸水1000棟)に次ぐ規模である.
- 秋田県の9/23現在の資料によれば,住家全壊1棟,半壊5棟,床上浸水506棟,床下736棟とのことで,やはり,1975年の事例に次ぐ規模と思われる.
- 岩手県の9/20現在の資料によれば,住家全半壊0,床上浸水87,床下353とのことである.床上浸水家屋数で見ると,岩手県においては1971年以降少なくとも16回発生している規模の被害である.
災害情報関係
- 人的被害は上記のように移動中のものや事故型のものであり,また9/20時点の資料で見ても,住家の全壊や流失がほとんど見られない.したがって,「情報を活用した早期の避難により人的被害が軽減された」,あるいは逆に「避難の遅れによって人的被害が拡大した」といった状況は,いずれも明瞭には認められない.
現地調査写真
関連リンク
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- 本ページで使用しているAMeDASデータの図表は,日本気象協会との協力により当方で整備しているリアルタイム豪雨表示システムによるものです.
静岡大学防災総合センター 教授 牛山 素行
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