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2002年7月10日〜11日の梅雨前線・台風6号豪雨災害 研究関係情報

2002/07/10 21:00開設.本web中の,災害関係ページの記述は,基本的にページ作成時までの情報を元に作成しており,その後の更新はしていません(刊行物以外の最終更新は2002年7月末).
7/10〜11日の48時間降水量分布

刊行物
  1. 牛山素行・今村文彦・片田敏孝・越村俊一,2003:豪雨時の自治体における防災情報の利用[PDF],水工学論文集,No.47, pp.349-354
  2. 牛山素行・今村文彦・吉田健一・片田敏孝・越村俊一,2002年台風6号による豪雨災害の特徴[PDF],日本自然災害学会,2001年9月
  3. 牛山素行,2002:2002年7月9日〜12日の台風6号による豪雨災害の特徴,Preprint (自然災害科学, Vol.21, No.3掲載予定原稿)
  4. 2002年台風6号豪雨災害時の自治体における防災情報の利用実態(調査票・基礎集計結果)[PDF]

災害概要
 2002年7月9日から,梅雨前線及び台風0206号が日本付近に接近し,九州地方以北・東北地方以南のほぼ全国に豪雨をもたらした.牛山が考える主な特徴は以下の通り.
  1. 主な豪雨域は,(1)岐阜県西部,(2)静岡県東部〜山梨県西部,(3)群馬県北部〜栃木県北部であり,これらの地域では48時間降水量(ほぼ今回の降雨イベントの一雨雨量と考えてよい)が,300mmを越え,岐阜県西部では400mmを越えた.これらの地域の多くで,24時間降水量がAMeDAS観測開始以来(1979年〜)の最大値を記録した.

  2. 7月19日13時現在,全国被害は総務省消防庁によれば以下の通り.死者・行方不明者7名,住家の全壊15棟,半壊24棟,一部損壊123棟,床上浸水2475棟,床下浸水7310棟であった.人的被害と柔化の損壊関係の被害は比較的少なく,浸水被害がやや目立ったが,近年の主要豪雨災害事例である1998年8月東日本豪雨,1999年6月梅雨前線豪雨(広島・福岡等)などに比べると2/3程度であった.

  3. 都道府県別の最大の被害は岩手県で記録され,床上浸水は1000棟以上,床下浸水約3000棟が記録された.これは,岩手県における1971年以降の浸水被害として最大値であった.また,降雨の面でもカスリン,アイオン台風に匹敵する降雨が記録された可能性がある.

  4. 岐阜県大垣市では,大谷川の洗堰からの越流により,住宅地に数百棟規模の浸水が発生した.1998年高知豪雨時などにも問題化した,洗堰などのありかたについての議論が生じ得る.

  5. 国・県レベルでの詳細なリアルタイム防災情報(崩壊危険度など)の整備がおおむね完成して最初に向かえた豪雨災害であると言え,これらの防災情報の活用実態に関心が持たれる.
これまでに確認された主な被害,現象は以下のとおり.

降水状況

現地調査写真
関連リンク

Key Words:2002年,台風6号,気象情報,防災情報,災害情報,岐阜県,樽見,根尾村,岩手県,東山町,釜石市
静岡大学防災総合センター 教授  牛山 素行
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